昨今の資源獲得戦略と国内資源循環の行方について

昨年欧州におけるELV規制見直し、プラスチックのケミカルリサイクル大型施設の計画中止・延期が相次ぐ一方、年明け早々米国の中南米における石油資源を対象とした影響力回復工作、高市政権下で行われる日本の海洋資源開発などが大きく報道されました。これを機会に「資源循環への取り組み」を経済安全保障という観点で見るとどのように再定義できるでしょうか。
非効率な循環は見直される。しかし循環そのものは消えない
日本企業が長年取り組んできた資源循環には、理念としての価値がある一方で、回収効率の限界、エネルギー投入量の大きさ、コスト競争力の不足、スケールの難しさといった課題が存在します。世界が資源獲得へ舵を切るほど、こうした“非効率な循環”は競争力を損なう要因になりかねません。実際の投資現場では、エネルギーコスト・バージン材価格・需要の不確実性がケミカルリサイクル案件を押し戻している構図があり、ケミカルリサイクルは「万能解」ではなく、特定用途に限定した補完的技術として再定義される可能性が高いとみられているようです。資源循環そのものが不要になるわけではないということ。むしろ保護貿易政策や資源価格の変動、地政学リスクが高まるほど循環は供給途絶リスクを抑える保険機能、廃棄物処理インフラとしての社会的機能、将来の不確実性に備える技術オプションとしての価値を増していく、と考えることもできます。これまでのCE/ESGは、理念やストーリーが中心でした。
しかし今後は、供給途絶への耐性や資源価格変動への強さ、長期的な事業継続性と国際競争力の維持、といった“実質的な強さ”が企業価値として評価される側面がより一層強化された、と捉えるべきではないでしょうか。
資源循環は環境配慮の象徴ではなく、企業の生存戦略として位置づけられるべきで、世界が資源確保へと舵を切る中で、日本企業は「非効率な循環を続けるのか、合理的な循環へと再設計するのか」という重要な選択を迫られています。この潮流を正しく捉え、循環を“理念”から“競争戦略”へと再定義できる企業こそ、次の10年をリードする存在になるはずです。(山本泰雄)
